一級建築士の製図試験では、「作図を2時間30分前後で完成させること」が一つの基準になります。
なぜなら、作図が遅れるとチェック時間が取れず、致命的なミスを見逃したまま提出することになるからです。
実際に、製図試験で不合格になる人の多くは、「描き終わらなかった」のではなく、「チェック時間が足りなかった」
という状態に陥っています。
そして、その原因のほとんどは、作図スピードです。
しかし、ここで一つお伝えしたいことがあります。
作図が速い人は、最初から速かったわけではありません。
私自身、製図講座を受け始めた当初は図面を完成させるのに8時間30分かかっていました。
周りの受講生が2時間30分で完成させている中、自分は1枚も終わらない。
正直、自分は一生合格できないと思っていました。
それでも、ある練習方法を繰り返したことで、最終的には、本試験で2時間30分以内に完成させられるレベルまで作図スピードを短縮することができました。
作図は、センスではありません。
正しい方法で練習すれば、誰でも速くなります。
この記事では、8時間30分かかっていた私が、2時間30分まで短縮した具体的な方法を、実体験ベースで解説します。
作図が遅くて悩んでいる方の、参考になれば幸いです。
作図が速い人は「描くのが速い」のではなく、「止まらない」
作図が速い人は、線を引くスピードが特別速いわけではありません。
もちろん、
- 柱を描く精度
- 家具を描く技術
- 線の綺麗さ
こういった技術的な差もあります。
しかし、作図スピードを決定的に左右しているのは、そこではありません。
一番の違いは、手が止まらないことです。
速い人は、作図中、ほとんど手が止まりません。
次に何を書くかを迷うことなく、流れるように図面を完成させていきます。
一方で、作図が遅い人には、明確な共通点があります。
それは、いちいち手が止まることです。
- 次はどこから描こうか
- この順番で合っているか
- この描き方で大丈夫か
こうした迷いが発生するたびに、手が止まります。
この「数秒の停止」が、作図全体では何百回も積み重なります。
結果として、30分・1時間という大きな差になります。
作図が遅い原因は、技術不足ではありません。
迷いがあることです。
逆に言えば、迷いをなくし、手が止まらない状態を作ることができれば、作図スピードは必ず速くなります。
作図を速くするために最も重要なのは、線を速く引く練習ではなく、手を止めない状態を作ることです。
手が止まる最大の原因は「手戻り」 順序を固定しない限り速くならない
作図中、最も手が止まる瞬間は、「手戻り」が発生したときです。
これは、多くの人が無意識にやっています。
そして、私自身もずっとこの状態でした。
例えば、次の工程に進んだあと、「ここ、さっき描いていない」と気づく。
仕方なく戻って、追記する。
一見、数秒のロスに思えます。
しかし、本当のロスはその後にあります。
- 他にも描き忘れがないか探す
- 今どこまで進んでいたか思い出す(最もタイムロスが大きい)
- 次に何を描く予定だったか確認する
この“再確認”に、必ず時間がかかります。
そして、この手戻りは一度では終わりません。
何度も繰り返されます。
結果として、合計で数十分の差になります。
学校で教わる順序だけでは不十分
資格学校では、
- 断面図を描くタイミング
- 外構を描くタイミング
- 設備や家具を書き込むタイミング
など、大まかな順序は教えてもらえます。
しかし、資格学校の順序通りに描いていても、抜けや漏れは必ず発生します。
なぜならその順序は、あくまで“全体の流れ”であって、細部まで固定されていないからです。
例えば、「壁を描く」という工程一つでも、
- 外壁のみ描くのか
- 内壁も一緒に描くのか
- 壁でなく手摺の部分はどうするのか
ここが曖昧だと、後で必ず手戻りが発生します。
作図を速くするために必要なのは「自分専用の順序」
作図が速い人は、もっと細かく、自分の中で描く順序が完全に決まっています。
- この工程で、ここまで必ず描く
- この段階では、これ以外は絶対に描かない
というルールが明確です。
もっと詳しく言うと、
- 壁は縦線から引き始める
- 寸法線の点を打ってから基準線を引く
こういった細部まで自分ルールを作っています。
だから、手戻りがありません。
迷いもありません。
手が止まりません。
私自身、作図時間が大幅に短縮されたきっかけは、この「作図順序の完全固定」でした。
順序を固定し、その通りに描くだけで、それまで発生していた数十分のロスが完全になくなりました。
作図を速くしたいなら、技術より先に、順序を固定すること。
これが最も効果的な方法です。
作図を2時間30分まで短縮した具体的な練習方法
遅い工程を分析し、反復する
作図を速くしたいなら、まず必ずやるべきことがあります。
それは、作図1枚ごとに、必ずタイムを測ることです。
なんとなく描いているだけでは、絶対に速くなりません。
タイムを測ることで、
- 自分が速い工程
- 自分が遅い工程
が、はっきりと見えるようになります。
ここまで分かれば、やることは一つです。
遅い工程だけを、徹底的に繰り返すことです。
例えば、
- 断面図が遅いなら、断面図だけを繰り返す
- 壁を描くのが遅いなら、基準線〜壁だけを繰り返す
- 柱が遅いなら、柱だけを繰り返す
このように、同じ工程だけを延々と反復します。
図面を1枚通して描く必要はありません。
遅い部分だけを切り取って、1日に4回、5回と繰り返します。
これを続けていくと、明らかに感覚が変わってきます。
最初は、線の位置を決めるのにも時間がかかっていたのが、徐々に、1mm、2mmのズレが目で分かるようになります。
迷いがなくなり、手が止まらなくなります。
これが、作図スピードが上がる瞬間です。
速い人の作図を徹底的に真似する
もう一つ、非常に効果があったのが、「速い人の作図を見る」ことです。
これは、想像以上に多くの気づきがあります。
例えば、
- 定規の使い方(どの作業で、どの定規を使うか等)
- 手の動かし方(どういう姿勢で描いているか)
こうした細かい部分まで、すべて参考になります。
もっと詳しく見ると、さらに効果的です。
- 寸法線の点は、どのタイミングで描いているか
- 柱の描き方は時計回りか、反時計回りか
速い人には、速い理由があります。
多くの練習から、自分に向いている小技を模索してきた人たちです。
それを観察し、真似するだけでも、作図スピードは確実に変わります。
私自身、これらを徹底して繰り返した結果、
8時間30分かかっていた作図を、2時間30分まで短縮することができました。
作図は、センスでも才能でもありません。
正しい方法で練習すれば、必ず速くなります。
そのために必要なのは、ただ闇雲に描くことではなく、
弱点を見つけて、そこだけを徹底的に潰すことです。
それが、作図を速くする最短ルートです。
まとめ 作図を速くする鍵は「止まらない状態」を作ること
作図を速くするために必要なのは、特別な才能でも、手先の器用さでもありません。
「手を止めない状態を作ること」
これがすべてです。
そのために、今回お伝えしたポイントを整理します。
- 作図が速い人は、線を引くのが速いのではなく、手が止まらない
- 手が止まる最大の原因は、描き忘れによる手戻り
- 自分の中で描く順序を細かく固定することで、手戻りは防げる
- 作図ごとにタイムを測り、遅い工程だけを繰り返し練習する
- 速い人の作図を観察し、細かい部分まで真似する
この練習を続けることで、作図は確実に速くなります。
私自身、最初は1枚の図面を完成させるのに8時間30分かかっていました。
周りが2時間30分で描き終わる中、自分だけが終わらない。
何度も、「製図は向いていない」と諦めかけました。
それでも、今回紹介した方法を実践して練習を繰り返した結果、
本試験では2時間30分で安定して完成させることができるようになりました。
作図は、量をこなせば速くなるわけではありません。
止まる原因を潰した人から速くなります。
もし今、作図が遅くて悩んでいるなら、
まずは、自分がどこで手を止めているのかを分析してみてください。
そこを改善するだけで、作図時間は大きく変わります。
作図スピードは、努力と分析で必ず速くなります。
実体験をもって断言できます。
そしてそれは、合格へ直結する大きな武器になります。


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