一級建築士の「施工」は、5科目の中で最も数値や専門用語を覚える必要があり、暗記するのが難しい科目です。
一つの用語や数値を覚えてもそれに関連する内容がとても多いため、しっかり勉強時間を確保しても点数が伸びにくい科目になります。
これらの理由から、施工が1番苦手という人も少なくないと思います。
施工は確かに暗記科目ですが、計画や環境設備のような一般的な暗記方法では頭に定着しません。
僕も最初は計画や環境設備と同じような暗記方法で勉強していましたが、模試の点数は停滞していました。
しかし、暗記方法を変えてから、一気に点数が伸びるようになりました。
この記事では、施工が苦手な方向けに、施工の暗記に特化した勉強の戦略を解説します。
この勉強方法を実践すれば、施工の点数は鰻登りに上がっていくと思いますので、ぜひこのまま読み進めてください。
施工が難しいと感じる原因
施工が5科目の中で最も点数が伸びないという人はかなり多いですが、それは次のような理由が挙げられます。
- 専門用語が多いため、イメージがしづらい
- 覚えなければならない数値が多い
- 同じような数値、用語が他の工種でも出題される
1つずつ説明していきます。
専門用語が多く、イメージがしづらい
施工分野は機材や材料の名前などが難しく、酷似した種類の名称が度々出てくるため、暗記に必要なイメージがしづらいことが挙げられます。
山留め工事の異常現象を例に説明します。
ヒービングとは、粘性土地盤を掘削する時、山留め壁背面の土の重量によって、掘削底面内部に滑り破壊が生じ、底面が押し上げられて膨れ上がる現象である。
ボイリングとは、砂質地盤において高い圧力を有する上向きの浸透流によって、砂の粒子がかき回され、砂全体が沸騰状に吹き上げられる現象である。
盤ぶくれとは、掘削底が難透水層で、その下部に被圧水含む透水層がある場合、上部の難透水層の重量が被圧水圧より小さいため、掘削底面が押し上げられる現象である。
このように、山留め工事を見たことない人だと説明文を読んだだけでは腑に落ちないことが多いです。
その上、別の用語の説明にも類似した用語が出てくることも多々あるため、頭の中が混乱しやすくなってしまいます。
覚えなければならない数値が多い
以下は建設工事に用いられる防水工事用アスファルトの品質をまとめた表になります。
| 種類・項目 | 軟化点(℃) | 針入度(25℃) | 針入度指数 | 引火点(℃) | フラース脆化点(℃) |
| 3種 | 100以上 | 20以上 40以下 | 5.0以上 | 280以上 | -15以下 |
| 4種 | 95以上 | 30以上 50以下 | 6.0以上 | 280以上 | -20以下 |
このように一つの種類を覚えるだけで、追加で覚えるべき項目が山ほどあります。
その上、軟化点、針入度指数、フラース脆化点などの専門用語も合わせて覚える必要があり、この点が頭に定着しない原因です。
同じような内容が他の工種でも出題され、混同する
例えば、鉄筋工事における鉄筋同士のあきは、次のような条件があります。
- 25mm
- 粗骨材の最大寸法の1.25倍
- 鉄筋径の1.5倍
これらの最大値となります。
しかし、似たような条件が、鉄骨鉄筋コンクリート工事でも出題されます。
- 粗骨材の最大寸法の1.25倍
- 鉄筋径の1.5倍
鉄骨鉄筋コンクリート工事の場合は、これら2つの最大値が鉄筋のあきになります。
このように、工種を跨いで似たような説明が度々出題されます。
これにより多くの人は頭の中がごちゃごちゃになり、どちらも中途半端な暗記になってしまい、テストで誤答することが非常に多いです。
施工が苦手な人に共通する勉強方法
僕は総合資格学院に通っていましたが、施工の点数が伸びない人には共通点がありました。
施工が苦手な人の共通する勉強方法をお伝えします。
一問一答形式で暗記している
施工が苦手な人の勉強方法で、最も多く見られるのが一問一答形式で暗記してしまうことです。
計画や環境設備は、用語がそれだけで完結していることが多く、他の用語や数値と強くリンクしていない場合が多い科目です。
そのため、数値や名称を単体で覚えても、ある程度問題を解くことができますが、施工の場合は少し異なります。
施工の問題は、
- 工程
- 材料
- 数値
- 条件
などが互いに関連した形で出題されることが多い科目です。
つまり、一つの用語や数値だけ覚えていても問題は解けません。
施工が苦手な人の多くは、単語、数値、用語をそれぞれ独立した知識として覚えてしまっています。
その結果、問題で違う数値や条件が出題された場合、対応できなくなってしまうのです。
施工の勉強では、用語や数値を単体で覚えるのではなく、工程や流れと一緒に理解して覚えることが重要になります。
理屈で覚えるべきところまで暗記してしまう
施工が苦手な人の勉強方法としてよく見られるのが、すべてを暗記で覚えようとしてしまうことです。
理解するのが難しいと感じると、「とりあえず覚えてしまおう」という勉強方法になりがちです。
しかし施工の問題は、単純な暗記よりも、理屈で覚える方が適していることも多くあります。
特に、構造的な理由や工程などが関係している内容は、理解して覚えた方がはるかに記憶に残りやすくなります。
コンクリートの打ち継ぎ位置を例に説明します。
梁やスラブのコンクリートの打ち継ぎ部は、スパンの中央または端から1/4付近に設けるとされています。
これを単純に「中央または1/4」と暗記してしまう人が多いですが、実はきちんとした理由があります。
コンクリートの打ち継ぎは、構造的に弱点になりやすい部分です。
そのため、できるだけ構造的な影響が小さい位置に設ける必要があります。
- スパン中央 → せん断力が0になる位置
- 端から1/4 → 曲げモーメントが0になる位置
このように、構造的に影響の小さい位置を選んで打ち継ぎを設けているのです。
構造力学の教科書で確認してみるのもいいかもしれません。
このように理屈と一緒に覚えることで、単純な暗記よりも記憶に残りやすくなります。
施工は暗記科目と思われがちですが、実際には理解して覚えた方が効率よく知識を定着させることができる科目です。
施工の点数を伸ばすための勉強方法
施工は計画や環境設備とは暗記の難易度や種類が異なり、点数が伸びない人は共通する勉強をしていることは理解できたかと思います。
逆に言えば、伸びない人の勉強方法をしなければ点数は必然と伸びていくわけです。
ここからは、その具体的な勉強方法について解説します。
数値は一回の学習でまとめて覚える
施工は覚える数値の量がとても多い科目の為、過去問で出題された数値だけ覚えていても、同じ分野の違う数値が出る可能性も大いにあります。

上の表は、鉄筋の種類、折り曲げ形状と内法直径の関係の表です。
多くの受験生は、SD295で鉄筋形状がD16以下の時の内法寸法は3d以上という覚え方をしています。
また、SD490の折曲げ内法寸法は頻出箇所ではないため、覚えていない人がとても多いです。
しかし実際には、この表の内容はすべて試験範囲であり、結局すべて覚えなければならない内容となります。
そこでおすすめなのが、表を丸ごと暗記してしまう方法です。
例えば、内法直径は上から3d,4d,5d,6dという順番になっています。
これを一つ一つ覚えるのではなく、表の並びごと覚えてしまうことで、流れで思い出せるようになります。
特に写真暗記が得意な人は、表をそのままイメージとして記憶する方法が非常に効果的です。
表全体の配置を覚えてしまえば、
- 鉄筋の種類
- 折り曲げ形状
- 内法直径
これらを個別に覚える必要がなくなり、一度の暗記で表の内容をすべて網羅することができます。
反復回数を増やす
施工は専門用語や数値が多く出てくるため、頭の中に印象深く残りにくいのが特徴です。
数日空いてからの復習では、知識のほとんどが頭から抜けていることも多々あります。
これでは、定着しにくいことに加え、勉強しているのに覚えられないという理由で、モチベーションが下がってしまいます。
おすすめは、30分おきに単元の復習を数回にわたり取り入れることです。
一回でまとめてインプット、アウトプットするのではなく、短時間で少しずつインプットとアウトプットを交互に繰り返していくことが重要です。
1ページ、単元のうちの1つの見出し、覚えることが多い表の内容などをインプットしたら、すぐに教科書を閉じて、覚えた内容を書き出します。
30分程度であれば、数値や専門用語も頭から離れていないため、ある程度は覚えています。
そして、覚えられていなかったらその箇所を覚え、また教科書を閉じてやり直す。
このやり方で勉強することで、全く覚えていないから一から覚え直すという時間の浪費を抑えていきます。
大切なのは、できなくて悩むことではなく、できるという小さな成功体験を積み重ねていくこと。
これが、一級建築士の勉強のモチベーション維持に最も必要な意識です。
まとめ 施工は「理解」と「反復」で確実に伸びる科目
施工は暗記科目と思われがちですが、実際には理解と整理が重要な科目です。
施工が伸びない人の多くは、
- 一問一答形式で単語だけ覚える
- すべて暗記で覚えようとする
- 分野を意識せずに勉強する
といった勉強方法をしてしまっています。
しかし、施工の知識は工程・材料・数値・理由が互いに関連して成り立っています。
そのため、
- 分野ごとに整理して覚える
- 理屈で覚えられる部分は理解する
- インプットとアウトプットを繰り返す
といった勉強方法を意識することが大切です。
こうした勉強方法を続けていけば、施工は確実に点数が伸びる科目になります。
施工は25点満点と配点も大きく、安定して点数を取れるようになれば大きな得点源になります。
計画や環境設備のような暗記科目の勉強方法は以下の記事で詳しく解説しています。
ぜひご覧ください。
【一級建築士学科 勉強方法 暗記科目は思い出した回数で勝負が決まる】
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