一級建築士の製図試験は、「どのくらい勉強すれば合格できるのか分からない」と感じる人が多い試験です。
実際に1、2年ですんなり合格する人もいれば、何年勉強しても受からない人がいるのも事実です。
学科試験のように点数で実力の伸びが分かるわけではないため、練習していても本当に成長しているのか判断しづらく、不安になりやすいのが特徴です。
特に初受験の場合、学科試験が終わってから本試験までは約2か月半しかありません。
この短い期間で合格を目指すため、必然的にかなりの練習量が必要になります。
勉強の密度だけで言えば、学科試験以上に負荷の高い期間になります。
しかし、製図試験では勉強時間そのものよりも大切なことがあります。
この記事では、
- 一級建築士製図の平均的な勉強時間
- 勉強時間よりも重要なポイント
について解説します。
一般的な勉強時間
一級建築士の製図試験では、一般的に300〜500時間程度の勉強時間が必要と言われています。
ただし、この数字は人によってかなり差があります。
例えば次のような条件によって勉強時間は大きく変わります。
- 初年度か過年度生か
- 作図のスピード
- エスキスにかかる時間
- 建築実務経験
作図に4時間かかる人と、2時間30分で完成できる人では、同じ勉強時間でも練習量が大きく変わります。
また、エスキスに時間がかかる場合も勉強時間は増えやすくなります。
そのため、製図試験では「○○時間やれば受かる」といった明確な基準はありません。
あくまで300〜500時間というのは、多くの受験生が費やしている目安の時間と考えておくとよいでしょう。
合格者の練習枚数
製図試験では勉強時間がよく話題になりますが、実際に合格している人を見ると、もう一つ共通していることがあります。
それが練習枚数の多さです。
資格学校に通っている受験生の場合、1年でおおよそ次のくらいの量をこなしています。
- エスキス:70〜100枚程度
- 図面:40〜60枚程度
もちろん人によって多少の差はありますが、合格者の多くはこれに近い量の演習を行っています。
僕自身も受験生だった頃は、エスキスを中心に練習し、最終的には100枚以上のエスキスを作成しました。
図面についても、授業や宿題を含めて50枚前後は書いていたと思います。
このように練習枚数が多くなる理由は、製図試験が単なる暗記試験ではないからです。
エスキスでは、条件の整理、室の配置、動線計画、構造や設備の検討など、さまざまな要素を同時に判断する必要があります。
そのため、テキストを読むだけでは身につかず、実際に図面を描く経験を積み重ねることでしか実力は伸びません。
ランクⅣやⅢを回避するためには、図面を多く仕上げて自分の弱点を洗い出し、克服していくしかありません。
多くの合格者が大量のエスキスや図面を書いているのは、単に努力量の問題ではなく、製図試験の特性上それが必要だからなのです。
練習量の重要性については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
次の章では、この製図試験において、勉強時間よりもさらに重要になるポイントについて解説します。
勉強時間よりも大切なこと
ここまで、一般的な勉強時間と合格者の練習枚数について説明しました。
しかし製図試験では、単純に「長時間勉強すれば受かる」というわけではありません。
勉強時間よりも大切なのは、練習の質と効率です。
例えば、作図に4時間かかる人と、2時間30分で完成できる人がいたとします。
同じ1日8時間勉強したとしても、書ける図面の枚数は大きく変わります。
- 作図4時間の人 → 図面2枚
- 作図2時間30分の人 → 図面3枚以上
このように、作図のスピードが違うだけで、1日に積める経験量が大きく変わります。
エスキスでも同じことが言えます。
エスキスに3時間かかる人と、1時間30分でまとめられる人では、同じ勉強時間でも練習できる枚数が全く違います。
1時間30分でまとめられる人は、同じ勉強時間で2倍の課題をこなすことができます。
製図試験では、こうした差が積み重なることで、数ヶ月後には大きな実力差になっていきます。
そのため、製図の勉強では
- エスキスのスピードを上げる
- 作図を安定して早く終わらせる
- 多くのパターンを経験する
といった点を意識して練習することが重要です。
作図、エスキスを速くする具体的な練習方法については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
まとめ
一級建築士の製図試験では、一般的に300〜500時間程度の勉強時間が必要と言われています。
しかし、この数字はあくまで目安であり、実際の合否は勉強時間の長さだけで決まるものではありません。
実際に合格している人たちを見ると、
- エスキスを70〜100枚
- 図面を40〜60枚
といったように、かなりの量の演習を積み重ねています。
製図試験は暗記中心の学科試験とは違い、実際に図面を描く経験の積み重ねによって実力が伸びていく試験です。
そのため、単純に勉強時間だけを増やしても、効率が悪ければ思うように実力は伸びません。
重要なのは、
- エスキスを早くまとめる力
- 作図を安定して終わらせる力
- 多くのプランニングを経験すること
といった、実戦的な練習を積み重ねることです。
製図試験では「何時間勉強したか」よりも、どれだけ図面を書き、どれだけエスキスを経験したかが合格に大きく影響します。
勉強時間という数字だけにとらわれず、効率よく演習を積み重ねていくことが、製図試験合格への近道と言えるでしょう。




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