一級建築士の学科試験は、計画・環境設備・法規・構造・施工の5科目があり、試験範囲が非常に広い試験です。
そのため、
- 何から勉強すればいいのか分からない
- 科目ごとの勉強方法が分からない
- 勉強の順序を間違えて遠回りしてしまう
という人も多いと思います。
僕自身も最初は勉強の進め方が分からず、毎週あるテストでは最下位に近い点数を取っていました。
しかし、勉強の順序を整理し、正しい方法で勉強を続けたことで、最終的には学科試験に一発合格することができました。
この記事では、僕が一級建築士の学科試験を実際に合格した経験をもとに、一級建築士学科の勉強ロードマップを紹介します。
一級建築士学科試験の概要
一級建築士試験は、「学科試験」と「製図試験」の2つに分かれています。
過去5年の学科試験の合格率はおおよそ以下の通りです。
| 令和3年 | 令和4年 | 令和5年 | 令和6年 | 令和7年 | |
| 学科合格率 | 15.2% | 21.0% | 16.2% | 23.3% | 16.5% |
合格率の平均は、18.4%となっています。5人に1人も突破できない、難易度の高い試験だとわかると思います。
まずは学科試験に合格しなければ、製図試験を受験することはできません。
学科試験では、次の5科目が出題されます。
- 計画
- 環境・設備
- 法規
- 構造
- 施工
それぞれの科目で出題範囲が広く、暗記だけでなく理解が必要な分野も多いため、長期間にわたり計画的に勉強を進めることが重要になります。
また、学科試験は合計125問出題され、各科目ごとに足切り基準が設定されています。
| 計画 | 環境・設備 | 法規 | 構造 | 施工 | |
| 満点 | 20点 | 20点 | 30点 | 30点 | 25点 |
| 足切り点 | 11点 | 11点 | 16点 | 16点 | 13点 |
そのため、特定の科目だけを極端に苦手にしてしまうと、合計点が足りていても不合格になる可能性があります。
このように、一級建築士の学科試験は範囲が広く、バランスよく得点する必要がある試験です。
だからこそ、やみくもに勉強するのではなく、勉強の順序や戦略を決めて進めることが合格への近道になります。
次の章では、実際に合格するために必要な勉強時間の目安について解説していきます。
いつから勉強を始めるべきか
一級建築士学科の勉強は、できるだけ早く始めることが重要です。
試験範囲が非常に広いため、短期間で詰め込むような勉強では対応することができません。
一般的には、試験の約1年前から勉強を開始する人が多いと言われています。
実際に総合資格長期講座のカリキュラムも試験の10カ月前からスタートしていました。
特に社会人の場合は、平日に確保できる勉強時間が限られているため、早めに勉強を始めておくことで余裕を持って知識を定着させることができます。
一級建築士学科の試験では、単に内容を理解するだけでなく
- 知識を覚える
- 問題を解く
- 間違えた内容を復習する
というサイクルを何度も繰り返す必要があります。
この反復学習には想像以上に時間がかかるため、勉強開始が遅れるほど反復学習をする機会が失われ、不利になる試験と言えます。
僕自身も、勉強を始めた当初は怠惰な姿勢で取り組んでしまっていたため、遅れを取り戻すのにかなり苦労しました。
僕の体験談を詳しく知りたい方は、こちらからご覧ください。
一つひとつの単元を理解して定着させるには時間が必要で、短期間で取り返すのは簡単ではありません。
そのため、一級建築士学科を目指す場合は、できるだけ早い段階から勉強を始めることをおすすめします。
勉強はいつから始めるべきかは以下の記事でさらに詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
合格するために必要な勉強時間
一級建築士学科の勉強時間は、一般的に800〜1000時間程度と言われています。
ただし、この数字はあくまで目安であり、建築の知識量や勉強方法によって必要な時間は大きく変わります。
例えば、すでに建築実務の経験が豊富な人であれば、理解に時間がかからない分、勉強時間は少なくて済むこともあります。
一方で、建築知識が少ない状態から勉強を始める場合は、専門用語を調べるところから始める必要があり、どうしても勉強時間は多くなります。
私自身の場合、資格学校に通っていた頃は1週間に約32時間勉強していました。
当時は社会人1年目で、ほとんどの専門用語が初めて聞くものだったため、理解するだけでもかなり時間がかかりました。
ただし、総合資格の情報によると、合格者の平均的な勉強時間は1週間に約25時間程度と言われています。
この数字を目安にすると、半年〜1年程度の勉強期間で合格を目指すことができます。
もちろん、勉強時間はあくまで一つの目安です。
しかし実際には、不合格になる人の多くが十分な勉強時間を確保できていないケースがほとんどです。
そのため、一級建築士学科合格を目指す場合は、
- 勉強時間を確保すること
- その時間を継続すること
この2つを意識することが非常に重要になります。
一級建築士学科の勉強に必要な時間は以下の記事でさらに詳しく解説しています。
僕が実際に行っていた勉強スケジュールも紹介しているため、参考になるかと思います。
科目ごとの勉強方法
計画・環境設備の勉強方法
計画と環境設備は、一級建築士学科の中でも暗記要素が多い科目です。
そのため、理解よりも「知識量」が点数に直結しやすい分野と言えます。
ただし、単純に暗記量を増やすだけでは問題形式に対応できない、頭に定着せず知識が抜け落ちる等の理由から、なかなか点数は安定しません。
重要なのは、問題演習(アウトプット)を繰り返しながら知識を定着させていくことです。
私が行っていた勉強方法は、基本的に次の流れです。
- 問題を解く
- 解説を読む
- 間違えた内容を教科書で確認する
このサイクルを何度も繰り返すことで、知識が少しずつ頭に定着していきます。
また、計画や環境設備では初出題の問題が比較的多いという特徴があります。
そのため、すべてを完璧に覚えようとするよりも、頻出の知識を確実に押さえることが重要です。
特に計画では、建築作品や用語問題が多く出題されますが、作品分野は特に、暗記しても終わりがありません。
すべてを覚えようとするのではなく、過去問で出題された内容を中心に覚えるという意識で勉強する方が効率的です。
計画・環境設備は暗記科目ではありますが、問題演習を繰り返すことで安定して得点できるようになる科目です。
暗記科目はとにかく、反復回数を増やすことが点数を伸ばすポイントになります。
暗記科目の勉強方法は以下の記事で詳しく解説しています。
法規の勉強方法
法規は、一級建築士学科の中でも最も得点差がつきやすい科目です。
理由は、法令集を使って問題を解くという、他の科目にはない特徴があり、得意な人と苦手な人がはっきりと分かれるからです。
法規の勉強で最も重要なのは、法令集を使いこなせるようになることです。
単に問題を解くだけではなく、「どの条文を引けば答えが出るのか」を理解しながら勉強する必要があります。
私が行っていた勉強方法は、次のような流れでした。
- 問題を解く
- 該当する条文を法令集で確認する
- その条文に線を引く、またはインデックスを貼る
このように、問題と条文を紐づける作業を繰り返していきます。
法規は問題数が多く、試験時間も限られているため、条文を探すのに時間がかかると最後まで解き切ることができません。
そのため、日頃から法令集を使いながら問題を解き、必要な条文をすぐに開ける状態を作ることが重要になります。
また、すべての内容を法令集で引こうとすると時間が足りなくなるため、
確認申請の範囲や内装制限など、頻出の分野は暗記しておくことも大切です。
法規は最初のうちは難しく感じる科目ですが、
法令集の使い方に慣れてくると、安定して得点できる科目になります。
そのため、早い段階から問題演習を始めて、法令集を使うことに慣れておくことをおすすめします。
構造の勉強方法
構造は、力学が6〜7問程度、残りの20問以上が文章問題で構成されています。
そのため、「構造は暗記科目だ」と思っている人もいるかもしれません。
しかし実際には、構造は暗記科目ではありません。
構造の文章問題は、力学の知識を前提とした理解問題が多いです。
つまり、力学を理解していない状態で文章問題を覚えようとしても、なかなか点数は伸びません。
構造の点数を上げたければ、まずは力学を最優先で勉強することが重要です。
力学がしっかり理解できていれば、文章問題の理解スピードは一気に上がります。
実際、力学が分かるようになると、文章問題は他の受験生の1/3程度の時間で理解できるようになります。
僕が実際に行っていた勉強方法
僕が実際に行っていた勉強方法は次の流れです。
- 問題を解く
- 解説を読む
- 教科書に戻って関連する知識を確認する
このように、解説だけで終わらせず、教科書に戻って+αの知識を広げることを意識していました。
こうすることで、
- 単発の知識で終わらない
- 関連する内容とセットで覚えられる
- 記憶に残りやすい
といったメリットがあります。
関連づけて覚えた知識は、単純な暗記よりも頭から抜けにくくなるからです。
構造の点数を伸ばすポイント
構造を伸ばすために最も大切なのは、解説を読んで終わりにしないことです。
解説から、
- なぜそうなるのか
- 他に関連する知識は何か
といった内容を広げて理解していくことで、構造の知識は一気に定着していきます。
構造は暗記ではなく、基本の理解が土台となっていることを忘れてはいけません。
構造の勉強方法は以下の記事で詳しく解説しています。
施工の勉強方法
施工は専門用語や数値等が他科目よりも多いため、暗記がしにくいといった特徴があります。
そのため、計画や環境設備と同じような勉強方法で勉強した場合、点数が伸びない可能性があります。
逆に、施工の暗記に特化した勉強戦略を実践することで、確実に点数を伸ばすことが可能な科目と言い換えることができます。
施工が苦手な人に共通する勉強方法
施工が苦手な人の勉強方法で、最も多く見られるのが一問一答形式で暗記してしまうことです。
施工は計画や環境・設備とは異なり、工程・材料・数値・条件などが関連して出題される傾向があります。
施工が苦手な人の多くは、単語、数値、用語をそれぞれ独立した知識として覚えてしまっています。
僕が実際に行っていた勉強方法
僕が実際に行っていた勉強方法は、表の数値などを一回でまとめて暗記してしまうというものです。
施工は覚える数値の量がとても多い科目の為、過去問で出題された数値だけ覚えていても、同じ分野の違う数値が出る可能性も大いにあります。
個別に覚えたら頭が混乱しやすいですが、一気に覚えることで全体像を把握できるうえ、効率よく理解を深めることができます。
施工が難しいと感じる原因、苦手な人に共通する勉強方法、点数を伸ばすための勉強方法は、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
【一級建築士 施工 勉強方法 合格者が教える施工特有の勉強戦略】
模試の活用方法
学科試験に合格するために、最も重要な教材の一つが模擬試験です。
問題集や過去問を繰り返し解いていけば、基礎的な知識はかなり身につきます。
実際、多くの人は過去問を完璧に理解することで80点前後までは到達することができます。
しかし、一級建築士学科試験の合格ラインはおおよそ90点前後です。
問題集や過去問だけでは、この最後の10点を取る力がなかなか身につきません。
その差を埋めるために重要になるのが、模擬試験の活用です。
資格学校の模試は、本試験を想定して作られており、
- 基礎問題
- 応用問題
- 初出題に近い問題
がバランスよく出題されます。
そのため模試を受けることで、
- 本試験レベルの問題に慣れる
- 自分の弱点分野を把握する
- 本番の時間配分を確認する
といったメリットがあります。
特に一級建築士の学科試験では、初出題の問題にどう対応するかが合否を分けることもあります。
模試を通して未知の問題に触れておくことで、本試験でも落ち着いて対応できるようになります。
模擬試験の重要性については、以下の記事でさらに詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
学科試験で落ちる人の特徴
ここまで勉強方法について解説してきましたが、逆に不合格になる人には明確な共通点があります。
実際に資格学校で多くの受験生を見てきて感じたのは、落ちる人は勉強量ではなく勉強のやり方で失敗しているということです。
ここでは、特に多かった特徴をいくつか紹介します。
勉強開始が遅すぎる
一級建築士の学科試験は、計画・環境設備・法規・構造・施工の5科目があり、試験範囲が広く、理解と暗記の両方が必要になる難易度の高い試験です。
短期間で一気に覚えようとしても、知識は定着しません。
特に法規や構造は理解に時間がかかる科目であるため、勉強開始が遅れるほど不利になります。
実際、勉強を始める時期が遅い人ほど、
- 復習の時間が取れない
- 苦手科目を克服できない
- 試験直前に焦る
という状態になり、そのまま不合格になるケースが多く見られました。
復習を後回しにしている
資格学校に通っていても落ちる人で特に多かったのが、宿題(復習)を講義前日にまとめて行う人です。
一週間間を空けて復習を行うと、学習内容を思い出すところからです。
たいていの場合、内容などはほぼ覚えていないため、本来かける必要のない無駄な時間をかけて思い出す作業を行う必要があります。
宿題や復習は、記憶がまだ新しいうちにやってしまうのが最も効率的です。
アウトプット不足
知識を定着させるためには、問題を解くアウトプットの量が欠かせません。
試験の合否は、アウトプットの量で決まるといっても過言ではありません。
しかし落ちる人は、
- テキストを読む
- 解説を理解する
といったインプット中心の勉強になりがちです。
学科試験では、知識を覚えるだけでなく、問題として出されたときに瞬時に判断できる力が必要になります。
そのためには、問題演習を繰り返し行い、知識を実際に使う訓練をしていくことが重要です。
資格学校に通っていて内容が密なカリキュラムのもと勉強していても、不合格になる人が大勢います。
そんな人達の特徴は、以下の記事でさらに詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
合格する人の特徴
一級建築士の学科試験は、才能やセンスで決まる試験ではありません。
正しい勉強方法で、必要な量の学習を継続すれば合格は十分可能です。
実際に私自身も、最初は成績が伸びず苦戦しましたが、勉強方法を見直すことで徐々に点数を伸ばすことができました。
ここからは、学科試験に合格する人の特徴について解説します。
僕が総合資格に通っていたため、総合資格の受験生の特徴になります。独学の人は少し基準が違いますが、参考になると思いますのでこのまま読み進めてください。
当たり前のことを継続する
合格者の最も大きな共通点は、当たり前のことを継続していることです。
具体的には、予習と復習を欠かさず行っていました。
総合資格では、授業後に演習テストが行われ、さらに翌週には確認テストとして前週の理解度をチェックするテストがあります。
これらのテストは、きちんと予習と復習を行っていれば決して難しいものではありません。
しかし、実際には高得点を取り続けられる人はそれほど多くありませんでした。
一方で、合格していく人たちは例外なく、これらのテストで常に高得点を取っていました。
彼らは特別な勉強法をしているわけではなく、
- 予習をする
- 授業を受ける
- 復習をする
という当たり前の流れを、毎週欠かさず続けていただけです。
こうして日々の学習を積み重ねることで、知識をゆっくりでも確実に積み上げていき、最終的に大きな差となっていきます。
一級建築士の学科試験は、特別な才能が必要な試験ではありません。
当たり前のことを継続できるかどうかが、合否を分ける大きなポイントになります。
法規と構造を味方につける
合格していた人たちには、もう一つ共通点がありました。
それは、法規と構造を得意科目にしていたことです。
一級建築士学科では、この2科目が最も配点が高いですが、特に理解に時間のかかる科目です。
試験直前までこれらを苦手なまま放置してしまうと、直前期に構造・法規の理解に多くの時間を取られてしまい、計画、環境設備、施工といった暗記科目の勉強時間が不足してしまいます。
実際、資格学校でも試験直前になって「構造が分からない」「法規が解けない」と焦っている人を多く見てきました。
しかし合格していく人たちは、早い段階からこの2科目と向き合い、勉強の要領を掴む人たちでした。
法規と構造の勉強要領を理解してしまえば、その後は必要以上に時間をかけることなく、効率的に学習を進めることができます。
その結果、暗記科目に十分な時間を確保でき、学科全体の点数を安定して伸ばすことができていました。
一級建築士の学科試験では、法規と構造をいかに早く安定させるかが、合格への大きなポイントになります。
一級建築士学科試験に合格する人の共通点は以下の記事でさらに詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
まとめ 一級建築士学科は正しい順序で勉強すれば合格できる
一級建築士の学科試験は、試験範囲が広く難易度も高いため、勉強する順番や勉強方法が分からないと感じる人も多いと思います。
しかし、学科試験は闇雲に勉強するのではなく、正しい順序で進めることがとても重要です。
この記事で紹介したロードマップを簡単に整理すると、次の流れになります。
- できるだけ早く勉強を開始する(理想は1年~10カ月前)
- 勉強時間を確保し、継続する
- 科目ごとの特徴に合わせた勉強方法を取る
- 問題集を繰り返し解き、知識を定着させる
- 模擬試験を活用して本試験レベルに慣れる
特に重要なのが、法規と構造を早めに安定させることです。
この2科目を味方につけることができれば、その後の勉強効率は大きく変わります。
一級建築士の学科試験は、特別な才能が必要な試験ではありません。
正しい勉強方法で、必要な量の学習を継続すれば、合格は十分に狙える試験です。
この記事が、これから学科試験に挑戦する方の勉強の指針になれば嬉しいです。













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