一級建築士の製図試験は、学科試験とは全く違う試験です。
知識を覚えるだけでは合格できず、
- エスキス
- 作図
- 法規チェック
- 構造・設備計画
- 時間配分
など、多くの要素を同時に考えながら図面を完成させる必要があります。
そのため、多くの受験生が勉強内容が分からない、作図やエスキスが速くならないと悩む状態になります。
実際、僕自身も製図講座が始まった当初は、作図に8時間半・エスキスに5時間かかっていました。
作図に至っては周りの受講生が3時間で図面を書き終える中、1枚目すら完成しない状態でした。
しかし勉強方法を見直したことで
- 作図:8時間30分→ 2時間30分
- エスキス:5時間 → 1時間15分
まで短縮することができました。
作図もエスキスも、「最も遅い」と「最も速い」を経験した僕だからわかる、初年度生が合格するための期間別練習方法、時間配分を解説します。
製図の勉強スケジュール
製図試験は、ただ闇雲に図面を書くだけではなかなか成長しません。
時期ごとに目的を変えて勉強することが重要になります。
特に初年度の人は先を行く過年度生に追いつき、追い越す必要があるため、効率的な練習が必須条件となります。
ここでは、1年目で不合格だった僕だからこそわかる、初年度受験者が絶対に行うべき勉強スケジュールを紹介します。
学科試験突破〜8月2週目 作図特訓(作図スピードを安定させる)
まず最優先で取り組むべきなのは、作図スピードの向上です。
この時期の目標は、どんな課題でも2時間30分以内に図面を完成させることです。
作図時間が安定していない状態でエスキスの練習をしても、土台がなっていないため意味がありません。
まずは作図を徹底的に練習し、安定して2時間30分以内で完成できる状態を作ります。
作図時間が8時間30分かかっていた僕が2時間30分まで短縮した具体的な練習方法は、以下の記事でさらに詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
作図スピードを上げるには技術だけでなく、道具類も大切な要素となってきます。
おすすめの製図道具については以下の記事からご覧いただけます。
8月2週目〜8月末 エスキス手順を確立する
作図が2時間30分で安定して完成させられるようになってきたら、次はエスキスの手順を固めていきます。
具体的には
- 課題文に引くマーカーの色分け
- 条件整理の項目
- 法規検討の内容(ランク4回避条件)
などを整理し、エスキスの流れを完全に覚えることが重要です。
この段階では、スピードよりも決まった手順でエスキスができることを意識します。
9月初旬〜9月3週目 エスキスのスピードを上げる
エスキスの手順が固まってきたら、次は2時間以内で終わるようにエスキススピードを上げていくことです。
この時期は
- 設備・構造関係の暗記(ランク3回避条件)
- 自分の得意な計画パターンの確立
これらも同時に進めていきます。
- 階段の配置
- トイレの配置
- 管理ゾーンの収め方
など、自分の中でテンプレートを作っておくことが重要です。
なお、作図時間がすでに安定している場合は、作図の練習量は最低限にするようにしましょう。
エスキスを優先的に行う必要がある中での作図は、時間が多くとられて非効率的です。
9月3週目〜試験本番 最終仕上げ
試験直前期は、次の内容を重点的に確認します。
- あらゆる課題で2時間以内に終わらせれるようにエスキスの安定性を高める
- 既存躯体の利用・エスカレーターなどの初出題の検討要素を暗記する
- 作業として書けるくらいに計画の要点を覚える
この時期は新しいことに手を出すのではなく、今までやってきたことを安定させることが大切です。
エスキスの完成度を高め、本試験でも同じ流れで解ける状態を作っていきます。
初年度生がやってはいけない勉強方法
作図量を増やしすぎる
製図試験の課題は大きく分けて
- エスキス
- 作図
- 計画の要点
の3つの工程があります。
しかし、初年度の受験生にとっては、7月末から10月初旬までの期間では圧倒的に時間が足りません。
そのため、合格するためには無駄な勉強を徹底的に削ぎ落とす必要があります。
よくある失敗が、作図量を増やしすぎることです。
作図がすでに安定しているにも関わらず、すべての課題で最後まで図面を完成させてしまう人がいます。しかしこれは、初年度の受験生にとっては非常に非効率です。
確かに、作図を講師に提出すると
- 法規ミス
- 構造的な不備
- 設備関係の配置ミス
などを細かく添削してもらえるため、勉強にはなります。
しかし、これらの多くはチェックや教科書の読み込みでも十分に対応できる内容です。
それよりも重要なのは、合否に直結するエスキスの練習量を増やすことです。
製図試験では、作図よりもエスキスの出来で合否が大きく左右されます。
また、エスキスは時間を短縮するのが最も難しい工程でもあります。
そのため、初年度の受験生は作図よりもエスキスの量を優先することが重要です。
エスキスの時間を測らない
エスキスの時間を測らない人は、なかなか成長することができません。
その理由は、制限時間内でプランニングを行うことで得られる「妥協」という能力が得られないからです。
製図試験では、限られた時間の中でエスキスをまとめなければなりません。
そのため、時間内にプランを完成させることで、どこで妥協するべきかという感覚を身につけることが重要になります。
エスキスがなかなか成長しない人の特徴として、綺麗なプランにこだわりすぎる人が挙げられます。
もちろん、論理的に試行錯誤して、整形な室を並べたプランを作れるようになることは重要です。
整形なプランは作図がしやすく、面積計算なども楽になるというメリットもあります。
しかし、実際の試験では常に理想的な条件でプランが作れるとは限りません。
そのため、綺麗なプランを作ること以上に重要なのが、プランにおける「妥協」を覚えることです。
- 意図していないスパンでエスキスを行う
- 歪な形の室を配置する
といった、理想とは少し違う条件でもプランを成立させる経験が重要になります。
こうした経験を積むことで、「多少条件が悪くても収まる」という感覚が身につき、結果としてエスキスの時間を大幅に短縮することができます。
エスキスの練習では、必ず時間を測りながら行い、限られた時間の中でプランを完成させる練習をしていきましょう。
模範解答をそのまま真似するだけ
初年度の人に多いのが、模範解答を見て理解した気になって終わる勉強方法です。
学校の解答例は非常に完成度が高く、合理的な配置になっていることが多いです。
しかし、それを見て理解した気になっても、自分でプランニングできる力はほとんど身につきません。
製図試験では、毎回まったく違う条件の課題が出題されます。
つまり、模範解答を覚えても意味がありません。
大切なのは、
- なぜこの配置にしたのか
- なぜこの動線なのか
- なぜこのスパンなのか
といったプランのロジックを理解することです。
合格する人は、模範解答を見たあとに
- 別案のエスキスを書く
- 室の配置を変えてみる
- スパンを変えてみる
といった形で、自分の頭で考える練習をしています。
模範解答は「答え」ではなく、考え方を学ぶ教材として使うことが重要です。
実践すべき時間配分
製図試験は6時間30分という限られた時間の中で、すべての工程を終わらせる必要があります。
そのため、本試験では事前に時間配分を決めておくことが非常に重要です。
私が実践していた時間配分は次の通りです。
課題文読み取り:30分
試験開始後は、まず課題文を丁寧に読み取ります。
ここで要求事項の読み違いがあると、その時点で不合格になる可能性があります。
急いで読んでも短縮できる時間はたかが数分程度なので、この工程は特に落ち着いて確実に条件を整理することが大切です。
エスキス:1時間40分
エスキスは次のように時間を分けて行います。
条件整理〜1/1000エスキス:40分
この段階では、
- 要求室の整理
- ゾーニング
- 動線計画
- スパン割りの決定
など、大枠の計画を決めていきます。
1/1000ではスパン割が一番手が止まる関門ですが、妥協するエスキスを覚えている場合、止まることなく進むことができます。
また、1/1000の段階で細かい室の配置までイメージしておくことで、後の1/400エスキスがスムーズになります。
1/400エスキス:1時間
この工程では、実際の室配置を具体的に決めていきます。
ここで多くの人が時間を使いすぎてしまう、エスキスの鬼門ともいわれる工程です。
1/400エスキスで大切なことは、綺麗なプランにこだわりすぎないことです。
法規・構造・設備条件を満たしていれば、多少いびつな形でも問題ありません。
エスキスで遅い人=1/400をまとめるのが遅い人です。
遅い人の共通点と速くするための練習方法は以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
中間チェック:20分
エスキスが終わったら、必ず中間チェックを行います。
ここでは主に
- 室面積の確認
- 法規違反がないか
- 設備条件の確認
- 要求事項の抜け漏れ
これらを確認します。
特に法規関係のミスはエスキス段階でしか修正できません。
作図に入ってから気づいても、もう手遅れになるケースがほとんどです。
それほどまでに重要な工程です。
作図:2時間30分
作図はどんな課題でも2時間30分以内に完成させる安定性が必要です。
家具が多い課題、断面図が複雑な課題など、
条件が変わっても作図時間がブレないように練習しておくことが重要です。
計画の要点:1時間
図面が完成したら、計画の要点の記述を行います。
計画の要点は、図面の内容と整合していないと評価されません。
そのため、
- 動線計画
- ゾーニング
- 構造計画
- 設備計画
などを、図面を確認しながら論理的にまとめていくことが重要です。
結構な文字数を書く必要があり時間が足りなくなりやすい部分でもあるため、最低でも1時間は確保しておきましょう。
最終チェック:30分
作図を書き終わったら、必ず最終チェックを行います。
どれだけ丁寧に書いたつもりでも、図面には必ずミスが残っています。
合格する人は、作図時間が多少押しても最終チェックの30分だけは必ず確保していました。
このチェックで修正できれば、合格の可能性を大きく高めることができます。
この時間配分だと、
- 課題文読み取り:30分
- エスキス:1時間40分
- 中間チェック:20分
- 作図:2時間30分
- 計画の要点:1時間
- 最終チェック:30分
合計 約6時間30分となり、本試験の時間内にすべての工程を終えることができます。
まとめ
一級建築士の製図試験は、勉強時間よりも勉強のやり方が結果を大きく左右する試験です。
特に初年度は学科試験が終わってから本試験までの期間が短く、無駄な勉強をしてしまうとすぐに時間が足りなくなります。
そのため、
- 作図ばかり練習する
- エスキスの時間を測らない
- 模範解答を真似するだけ
といった効率の悪い勉強方法を避けることが重要です。
ちなみに上記の無駄な勉強は、僕が製図1年目に行って後悔した勉強方法です。
この勉強を続けてしまった結果、1年目は不合格になりました。
また、本試験では次のような時間配分を意識して練習することが大切になります。
- 課題文読み取り:20〜25分
- エスキス:2時間
- 中間チェック:20分
- 作図:2時間30分
- 計画の要点:1時間
- 最終チェック:30分
この流れを普段の練習から意識しておくことで、本試験でも焦らず安定して図面を完成させることができます。
製図試験は、闇雲に努力してもなかなか結果につながりません。
だからこそ、正しい勉強方法で効率よく練習を積み重ねることが、合格への一番の近道になります。
合格する人にはある共通点があります。詳しくは以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。






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